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2017年04月29日

日ペンの美子ちゃんが復活、ペン習字受講者3割増

「日ペンの美子ちゃん(にっぺんのみこちゃん)」は、1970〜90年代に、漫画雑誌の、裏表紙の広告漫画として、おなじみでした。
今年1月、6代目主人公の登場に伴い、活躍の舞台をツイッターに移して、18年ぶりに、連載を再開しました。
「完全復活」の効果か、デジタル全盛にもかかわらず、漫画でPRするペン習字通信講座の受講者数が、前年に比べて、3割も増えるなど、過去最高の伸びを見せています。
半ば忘れられていた昭和のキャラクターの復活は、いかにして実現したのでしょうか。
そして、時を経ても変わらない彼女の魅力に迫ります。

日ペンの美子ちゃんのボ-ルペン字練習帳 書き込み式

講座を手がける「学文社」(東京都新宿区)によると、美子ちゃんは、1972年、雑誌「明星」(現Myojo)別冊付録の広告漫画に初登場しました。
以来、99年まで、4代27年にわたり、少女漫画雑誌などの裏表紙の9コマ漫画で、ペン習字をPRしてきました。
時には「あなた、なんて字が下手なの!」などと、歯にきぬ着せぬせりふも交えて、ペン習字をひたすら勧める姿勢や、最後のコマでずっこける安定の「オチ」も人気で、青春時代を過ごした人を中心に、広く親しまれてきました。

しかし、80年代以降、ワープロ、パソコン、携帯電話・スマートフォンなどの電子機器の普及で、ペン習字人気はじりじりと低下し、受講者は右肩下がりで、漫画も、99年に終了しました。
それ以降、美子ちゃんのキャラクターは存続しましたが、00年以降の4代目と06年登場の5代目は、学文社ホームページ上のワンカットのイラストで登場する程度となり、露出は極端に減っていました。

そんな中、学文社は昨年3月、反転攻勢に向けた検討チームを設置しました。
今でも多くの人の記憶に残る、美子ちゃんの再活用を主題としています。
しかし、絵をプロに依頼するにも、ブランクが長く、漫画家へのつても少ないです。
イラストの一般公募、同人作家とのコラボ、実在する女性を「リアル美子ちゃん」としてキャラクターにするなど、打開策が浮かんでは消えていきました。

一般公募に傾きかけた同年5月、ある社員が、漫画家・服部昇大(しょうた)さんの漫画「日(にっ)ポン語ラップの美ー子(びーこ)ちゃん」を、ネットで偶然発見しました。
美子ちゃんに似た主人公が、日本語ラップの聴き方や向き合い方を、本家の美子ちゃんのように、熱く語る作品です。
美子ちゃん似、9コマ漫画、「安定のオチ」という、明らかにパロディー作品でした。

「懐かしく新しい美子ちゃん」を掲げた学文社の検討チームにとって、美ー子ちゃんの顔や髪形、服装、話し方などは、イメージの通りでした。
しかし、パロディー作家に難色を示す意見も、当然、ありました。
服部さんは、82年生まれで、学生時代には、美子ちゃんを見る機会は少なかったはずです。
学文社チームは、まず、なぜ美子ちゃんなのかを聞くことにしました。

服部さんは、美子ちゃんファンで、70年代の画風に関心があるということでした。
その後の打ち合わせで、学文社で保管する、初代からの原画に、食い入るように見入る服部さんの姿に、チームのリーダーで、営業部の浅川貴文課長は「服部さんは、歴代の美子ちゃんに敬意を持ってくれているし、私たちが目指していた『懐かしく新しい美子ちゃん』も描ける。実は、服部さんがいちばんの適任なのではないか」と感じました。
大正時代創業の老舗による、異例とも言えるパロディー作家の起用は、こうして決まりました。

服部さんは、「最初に美子ちゃんの本家・学文社からメールで連絡を受けた時、『(訴えられるなど)終わった』と思いました。引き受けるにあたって、70〜80年代の少女漫画を集め直して模写もかなりしました。歴代の先生方や少女漫画のファンでもあり、これほど光栄な仕事はないと思います」と話します。

少女漫画に詳しい編集者兼ライターで、「大人の少女マンガ手帖」シリーズ(宝島社)などを手がける粟生こずえさんは「(パロディーを描く)服部さんの起用は英断。(手塚治虫の『ブラック・ジャック』のパロディー作品)『こんなブラック・ジャックはイヤだ』の作者つのがいさんが、最近手塚プロ公式の作家に迎えられ話題になりましたが、つのがいさんと服部さんの共通項は、原典を尊重しつつコピーではない新しい創作を見せてくれる点。こうした作家は今後も歓迎されるのではないでしょうか。最近は名作漫画のスピンオフも盛んで、受け入れる土壌も育っていると感じます」と話します。

今年1月6日、公式ツイッター(@nippen_mikochan)上で、服部さんの1作目が発信されました。
実は、描き手決定後も、美子ちゃんを活用した具体策には慎重意見も多く、提出した複数の企画案が却下されていました。
受講申し込みが最も多い、勝負の月である1月が迫った12月8日、浅川さんは、三ツ井清貴社長に「ツイッターだけはスタートしたい。タイミングはここしかないです」と直談判し、三ツ井社長が、これを後押ししました。

ぎりぎりでのスタートでしたが、ネットで6代目登場を発表すると、「懐かしい」「まだいたんだ!」など、想定外の反響を呼びました。
3カ月で3000フォロワーを目標としていましたが、2日後の1月8日には、5000を超えました。
その後、さまざまなメディアが報じたことも拍車をかけ、4月28日現在、フォロワーは約1万7000に上っています。

20年近く、目立った露出のなかった美子ちゃんへの大きな反響について、服部さんは、「広告漫画だから、単行本もアニメもない。でも、意識したことはないけれど、誰もがどこかで読んだ記憶がある普遍性が魅力なのでは」と話します。

毎週水曜日、公式ツイッターで発信される、服部さんが描く美子ちゃんは、あらゆる年齢層に「刺さる」作風が人気のようです。
6代目美子ちゃんは「(初回の72年から)永遠の17歳」です。
例えば、「(70年代にはやった)仮面ライダーカード集めていました!」「もうすぐ2度目の東京オリンピックを迎える17歳よ!」などのせりふで、オールドファンの心をくすぐります。

また、森友学園や道徳教科書検定問題、ブラック企業、PPAPなど、時事ネタにも切り込みます。
ブラック企業がテーマの作品では「まあ、あなた社畜ね! でも、こんな下手な字じゃブラック企業は辞められないんじゃないかしら?」と、美子ちゃんらしい「放言」も飛び出します。

粟生さんは「自由に遊びながら『毒』を混ぜ、旬の時事ネタを盛り込むなど『うまい!』と思います。また、結構ふざけているのに宣伝パートが浮いていないのがすごいですね」と指摘します。
服部さんは「炎上は怖いですが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)連載の漫画らしく、ギリギリのところを攻めていきたいと思います」と語ります。
そんな挑戦的な姿勢も評価されてか、リツイートが8000近くになる時もあります。

学文社のペン習字の受講者数は、「デジタル全盛だからこそ、手書きの良さが再評価されてか」(浅川さん)、14年から、前年比1割程度の増加に転じていましたが、6代目登場後の、今年1〜3月の増加率は、前年同期に比べて、3割増で、サイトへのアクセスも、同5割増と、これまでにない、大幅なものとなりました。

年齢層も、従来は、30〜40代の女性が主力でしたが、20代や50代の女性、さらには、男性にも広がっています。
浅川さんは「少なくなった受講者を、バブル期より多い競合が取り合う中、3割増はすごいことだと感じています。再登場した美子ちゃんを懐かしいと感じて『ちょっとやってみようか』と申し込んでくれたのだとしたらうれしいですね。キャラクターが45年間愛されていることには感謝の気持ちしかありません」と話します。

この好調ぶりを受け、いったんはお蔵入りになった企画も動き出しました。
5月16〜30日には、東京・中野で、歴代美子ちゃんの原画展が開催されます。
また、6コマ漫画を1コマずつに分け、東京メトロの都内6駅の電飾看板に展示して、ファンに探し出してもらう企画も、5月中、実施します。
そして、美子ちゃんの主舞台とも言える、雑誌の裏表紙への再登場も、検討中です。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆


本当になつかしいです。
私も、よく目にしていました。
特に楽しみにしていたわけでも、気になっていたわけでもありませんが、何となく見てしまうというか。
ただ、言われる通り、広告漫画は、コミックスとして、形に残るわけではありません。
終わる時も、今回で最終回です、というような告知もなく、ひっそりと消えてしまったんだろうなと思うと、何だか切ないです。

勝手にやっていたパロディを、本家が見つけて、取り立ててくれたというのは、ファンとしては、この上ない喜びなのではないでしょうか。
「『終わった』と思った」というコメントには、申し訳ありませんが、笑ってしまいました。
まあ、笑い事ではなく、パロディというのは、実際に訴訟問題に発展する危険性と隣り合わせの、ギリギリの娯楽でもありますので。
穏便に話がまとまって、よかったです。

あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度
18:19 | 社会ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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