イグ・ノーベル賞は、ノーベル賞のパロディー版で、まず人々を笑わせ、それから考えさせるような、研究や業績に贈られます。
授賞式には、4人の受賞者が出席し、例年通り、本家ノーベル賞受賞者から、賞を授与されました。
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舞台で紙飛行機を飛ばすのが恒例となっている授賞式では、主催者が、イグ・ノーベル賞の目的について「非凡さと創造性をたたえ、科学や医学、技術への関心をかき立てること」だと説明しました。
受賞者らには、賞金10兆ジンバブエドル(ジンバブエドルがまだ発行されていた2009年のレートで約8ドル相当)と、60秒間の、受賞スピーチ権が与えられます。
ただし、スピーチは、8歳の少女に「やめてください。つまらないです」と言われたら、そこで終了です。
医学賞は、「ピザで病気と死を予防できることがある、ただしイタリアで地産地消した場合に限る」ことを示す証拠を集めた、イタリアとオランダの研究チームに贈られました。
化学賞は、標準的な5歳児の1日の唾液分泌量を計算した、日本の研究チームに授与されました。
解剖学賞は、フランスの郵便配達人が、裸の時と服を着た時の、陰のうの温度の非対称性を測定した、2007年の仏研究に贈られました。
心理学賞は、「口にペンをくわえると笑顔になり、その笑顔でさらに幸せになることを発見し、その後そうではなかったことを発見した」独ビュルツブルク大学のフリッツ・シュトラック氏に授与されました。
工学賞は、乳児のおむつ換えマシンを発明した、イランの研究チームが受賞しました。
このマシンは昨年、米国で特許を取得しました。
平和賞は、かゆいところをかく快感を測定した、国際チームに授与されました。
日本人のイグ・ノーベル賞受賞は、13年連続です。
5歳児30人を対象にした研究で、明海大学保健医療学部(千葉県浦安市)の渡部茂教授(68)が、北海道医療大学歯学部(北海道当別町)の助教授時代に同僚だった、今回の共同受賞者である、いずれも歯科医の大西峰子、今井香、河野英司、五十嵐清治各氏とともに行い、1995年に、専門誌に掲載されました。
授賞式には、渡部氏と、約30年前に被験者となった、渡部氏の息子3人が出席して、当時の研究を実演し、会場は爆笑に包まれました。
渡部氏は、「30年前の研究だが、口の中の健康を支える唾液研究のスタートラインになった」と述べ、酸から歯を守るなど、唾液の働きに関する、その後の研究の基になったと、説明しました。
唾液を研究していた、小児歯科医の渡部氏は、当時、子供の1日の唾液量に関する文献がなかったことから、調査を開始しました。
被験者の唾液量を、2日間記録する必要があり、患者の子供の親の了解を得て行いましたが、途中で嫌になって逃げる子供もいました。
自らの子供3人も、嫌がるなどしましたが、ご褒美をあげて、実験をやったといいます。
渡部氏は受賞に「自分としては、まじめな生理学的な研究と思ってやっていたが…」と語りました。
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これ、個人的に、私の好きなヤツです。
「ピザで病気予防」は、基本的には無理でしょう。
高カロリーおよび高脂肪で、むしろ病気になるはずです。
ただ、「イタリアで地産地消した場合に限る」という副題が面白いというか、この辺りが、いかにもイグ・ノーベル賞っぽいなあと思うので、そこのとことろを、もう少し詳しく知りたいです。
興味深い内容ではあります。
日本人が毎年受賞しているのも、センスがいいというか、下らないことにかまけていられるほどに、日本は平和なんだな、ということで、いいことだと思っています、本当に。
ですが、唾液の研究に関しては、どこが笑いのツボなのか、よく分かりませんでした。
ご本人も、「真面目な研究」と言っていますし。
イグ・ノーベル賞は、最初から「そっち」系を狙ったネタ的な研究も多いですが、自分としては、真面目に取り組んでいた研究が、イグ・ノーベル賞で表彰されてしまうというのは、研究者の心境としては、複雑なのかもしれません。
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