なぜでしょうか?
あんぱんFIREマンさん(ツイッターから)
「FIREからその先へ。
1年以上続いたFIRE生活が、もうすぐ終わります。
今は仕事がしたくてワクワクしています」
最近、SNSには、「FIREからの卒業」が、次々に、投稿されています。
FIREとは、株式投資などで利益を上げることによって、経済的に自立し、仕事を早期リタイアすることです。
つまり、「FIRE卒業」とは、再び働き始めるとことを、意味します。
今、こうした人が、増えています。
なぜ、念願の「働かない生活」を、手放すことにしたのでしょうか。
"FIRE卒業生"は、次のようにいいます。
あんぱんFIREマンさん(30代後半)
「以前から、やりたい仕事があって。
その仕事をしている友達がいて、『今なら紹介してあげられる』と。
趣味として、会社員やってみるのもいいかなと思った」
あんぱんFIREマンさんは、18歳で始めた株式投資で、6500万円の資産を築き、去年、FIREを達成しました。
以前は、夜勤などもある、工場勤務をしていましたが、FIRE後は、午後1時ごろに起きて、ゴロゴロした後、夜は、友達と遊んだり、ゲームをしたり、映画を見たりして過ごし、眠くなったら寝るという生活になりました。
あんぱんFIREマンさん
「楽しいんですけど、飽きが来る。
地域のボランティア活動に参加したり、そういうことを織り交ぜて、承認欲求などを満たさないと、何のために生きてるんだろうとなってくる」
生きがいを求めて、1年半のFIRE生活を卒業し、11月から、サラリーマンとして、働き始めました。
あんぱんFIREマンさん
「新しい人生のスタートみたいな感覚。
毎日が結構ワクワク、ドキドキ。
いつでもやめられる状態がすごい今、自分では気が楽」
一方、FIRE生活をやめざるをえなくなった人もいます。
暴威さん(38)
「負けすぎて、せきが出まくる。
株も、朝イチで損切りした。
もう、何やってもダメ。
就職する。
再就職する。
皆には悪いけど、ユーチューブやめます」
趣味のFXトレードをする様子を、YouTubeで配信していた男性です。
株や為替の短期トレードで、1年近く勝ち続けて、1800万円をため、9月にサラリーマンをやめたばかりでした。
リタイア後は、朝早く起きて、趣味の筋トレをするため、ジムへ行きます。
その後、株式市場などをチェックし、午後、2度目のジムへ向かいます。
今後も、気ままな暮らしが続くかと思っていましたが、そうはいきませんでした。
暴威さん
「FIREと思いきや、火だるま(=ファイア)。
毎月100万円くらい勝ってて、順調なつもりだったんですけど。
まさか、こんなことになるとは…」
急激な円安や、インフレをきっかけとする、市場の乱高下のなかで、負けが込み、退職からわずか3カ月で、1200万円近くを失ったため、再就職を考えざるを得ないといいます。
暴威さん
「FIREなんかやめとけ。
だまされんなよ。
そういう気持ちでいっぱい。
やっぱり働いて、固定給をもらうのが一番良い。
そのほうが精神的にも安定するし。
暇になると人間、余計なことばかりやりますから」
様々な理由で相次いでいる「FIRE卒業」は、FIREブームの火付け役、アメリカでも起きています。
楽天証券のFXアナリストは、理由を、次のように分析しています。
まず、想像できなかったスピードで、インフレが、進んでいます。
また、FIREをしている人は、株式などに投資をして、配当金などで収入を得ていますが、その株価が下がっています。
アメリカでも、物価高騰や、不安定な株式市場の影響から、FIREを卒業せざるを得ない人が、増加しています。
やはり、楽をして、自由な生活を送るというのは、難しいようです。
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FIRE"卒業"というよりも、"退学"なのではないでしょうか。
そもそも、FIREができている状態ではなかった、"自称"FIREだったことに気付いただけだと思います。
FIREでは、株式などの資産が産んでくれる、配当などの利息で生活するので、十分な生活費を確保できるだけの"元手"がいくら必要かというと、もうお分かりかと思いますが、1800万円なんて、まったくお話になりません。
ゼロ1個追加しないと、無理でしょう。
FIREは、そう簡単にできることではありません。
デイトレで一時的に儲けるのとは、レベルの違う、ハードルの高さなのです。